Anseriformes

カモ系論文を延々と紹介しやす。。。

2019-01-01から1年間の記事一覧

精子競争 sperm competition

従来のガンカモ類の陰茎の比較解剖学的研究*1では、そのサイズ と構造の精巧性は、精子競争*2によって進化してきたと結論付けて いたが、著者らは何種かのガンカモ類の陰茎に棘と畝状の構造を 発見し、これは高リスクの精子競争をしている種では、競争相手 …

性選択

性器の形態は、メスがより良い刺激やより高質のオスを選り好み(female choice)*1,*2して起きた共進化の結果と仮定され、あるいは、射精と受精の制御に関する軍拡競争の結果である*3。これらのメカニズムを形態情報のみで区別することは不可能で、オスの陰茎…

自然選択の考察

ほぼ陸上で交尾をするガンカモ類はほとんどいない。 (例えばカササギガンAnseranas semipalmata、ハワイガンBranta sandvicensis、ロウバシガンCereopsis novae-hollandiae、が挙げられる。) 強化 reinforcement(自然選択による雑種化の防止)は、鍵と鍵…

自然選択

メスの膣における嚢状部pouchesとspirals螺旋構造は自然選択だけでも進化し得る。たいていのガンカモ類では水中に交尾部が位置するので、卵管の入り口はしっかりと閉鎖する構造を形成する。もし、膣内に水の侵入リスクが陰茎長に比例するなら、これはより長…

相同

ここで観測された、陰茎長さと膣の精緻化との相関関係は、これらの形質が相同であれば生じ得る。もし形質が相同であれば、一方の性の精緻化する形質に選択がかかると、他方の性の相同形質の精緻化に相関関係を導き得る1。しかし、ガンカモ類の性器は相同では…

共進化パターンの説明

このパターンを説明し得るものとして Homology 相同関係自然選択異なった性選択のメカニズム 以上の項目をこれらを検討する。

共進化の検証

この予想を検証するため、系統遺伝学的に制御された比較研究をガンカモ類16種で行った。 その結果、種間に膣、陰茎における嚢と螺旋の構造数に大きな変異が見つかり、予想したように小型の陰茎を有する種は短く単純な構造の膣であり、一方長い陰茎を有する…

性器形態の共進化予想

過去の記載と正確に合致して、ここで調査した全てのガンカモ類の陰茎は反時計回りの螺旋構造で、膣の螺旋構造は逆方向であった。ガンカモ類の膣の複雑な解剖構造は、陰茎に対する解剖学的障壁であることが示唆された。 そこで、雌雄の性器構造は共進化の結果…

性器形態の軍拡競争

鳥類の陰茎と交尾メカニズムとして陰茎の外転が総排泄腔への接触に先立たないことは、研究されていない。従って、膣に見られる嚢構造の形態と配置は、陰茎の完全な外転と、膣よりの内部における精子の貯蔵を妨げるだろうことを示唆する。この観察より、膣の…

結果

繁殖期に収集した16種のガンカモ類の性器を調査した。メスの性器形態に種間で非常に大きな変異を発見した。ある種では典型的な単純な鳥類のメス性器形態であり、一方では高度に複雑な性器であった。 手の込んだ膣の構造として、総排泄腔に近位となる嚢構造、…

性器構造の進化

多くの分類群におけるメスは、オスの授精を制御する能力を保持するための対抗戦略行動の操作に反応するという証拠がある1。 いくつかの無脊椎動物のメスでは、オスの性器形態を変化させるという繁殖戦略に反応するが、一般にメスの性器は、オスよりも多様性…

性器の進化

鳥類では一般に、性器進化の研究が行われてこなかった。なぜなら、たいていのオス鳥は、体外に複雑な性器を有していなかったからである。全ての鳥類種のうち僅か3%が挿入器官を有し、そしてその全ての種は、現存鳥類の基幹系統 basal lineages をなす。こ…

性器形態

性器形態は一方の性を優位に、他方は、性間の共進化を先導するような費用を交尾行動、形態、生理に関する進化的軍拡競争として課す1,2,3 もしオスの性器の形質が、メスを操作し、父性を偏重させるなら、交尾や授精の制御を取り戻すようなメス性器の解剖構造…

ガンカモ類の性器形態の雌雄における共進化

Coevolution of Male and FemaleGenital Morphology in Waterfowl patricia, L.R. Brennan, et al. (2007) PLos ONE Issue 5 e418. 複雑な性器は、いろいろな進化メカニズムで形成されるだろう。近年、ますます性選択が性器の多様性の進化の背後にある根本的…

羽色

Davis1が指摘したように、メスの形質はあまり注目されてこ なかった。 とは言えメスは、羽色に、より輝きがあって多彩なオスとの交尾やつがい 形成を好む2ことはかなり確定されている。 オスもまた同様に、交尾やつがい形成における選択により、少なくとも…

結果

この系統樹の再構築では、飛べないフナガモ属を単系統として回復できなかった。一方で、フォークランド諸島に固有のフナガモは大陸系統群の姉妹群をなしていた。 個体レベル系統樹の再構築では、一貫した近年の種分化パターンを示した。

フナガモ属の系統関係

フナガモ属4種の飛翔能力消失の進化には、それぞれ異なる意味あいが付随する間違った系統関係であったが、比較的短いmDNA塩基配列に基づいた最新の研究は飛行能力の無いフナガモ属は、単系統では無く、飛翔能力消失は、フナガモ属に複数回起こったことを示…

フナガモ属

現存するフナガモ属は、 トビフナガモT. patachonicus フナガモT. brachypterus オオフナガモT.pteneres アルゼンチンフナガモT.leucocephalus の4種で、トビフナガモのみが飛ぶことができる。フナガモ属は、水上で翼と脚を"steaming"(外輪船の動きに似てい…

フナガモ

補完的研究戦略として、現存する非常に近縁だが飛翔能力の異なる鳥類の種間比較がある。これにフナガモ属Tachyeresが利用できる。これら4種は、過去200万年の南米で更新世の異なる気候サイクルに影響を受けて種分化した1。 Fulton, T. L., B. Letts, and B. …

序論

進化期間に遺伝的変化を多重に蓄積してきた鳥類を解析する試みは困難であるが、近年のゲノム研究は、飛翔能力の消失に寄与した選択の標的を同定した。例えば、ガラパゴスコバネウの飛翔能力の消失に至る前肢発生の制御遺伝子の翻訳、非翻訳領域双方における…

はじめに

鳥類の共通祖先は飛ぶことができたが、その飛翔能力は系統樹上で独立に、繰り返し消失した。一般に、この飛翔能力の転換は関連形質の変化:体サイズの増加、前肢サイズの減少、後肢サイズの増加、採餌生態の変化等によって達成された。特定の生態的状況下:…

NatureのNews&Viewsでフナガモ(Tachyeres brachypterus)の飛翔能力消失の進化が取り扱われた。多くの鳥類グループにおいて飛翔能力が失われてきた。羽の構造及びフナガモ属の飛翔可能種と不能種間でのゲノム比較は、有力な飛翔能力の消失メカニズムを浮き彫…

動物の体色は、 二つの拮抗する選択圧の妥協 の産物として進化した1。 性選択が、オスと競争相手の体色を目立たせ2 自然選択が、餌との交信3や捕食者と交信4そして隠蔽的な体 色を選択することを通じて作用した。 性選択の下では、えり好みする性はメスと予…

倒立採餌ガモ2種における 体調に依存する虹色の翼鏡 高校生物の範囲を超える概念は、アンダーラインします。 (本ブログの前提条件として高校生物程度の知識*を想定)。とにかく 「分かり易くする」がモットーです。いきなりタイトルがすでに難し いだろと…

2種の倒立採餌ガモにおける体調に依存する翼鏡

Condition dependance of iridesent wing flash-marks in two species of dabbling ducks Legagneux, P., et al., (2010) カモ類のとても美しい特徴として、翼鏡はどうしても気になる。 通常、オスより地味なメスであっても 何故かキレイなので、これには何 …