Anseriformes

カモ系論文を延々と紹介しやす。。。

性器形態の共進化予想

過去の記載と正確に合致して、ここで調査した全てのガンカモ類の陰茎は反時計回りの螺旋構造で、膣の螺旋構造は逆方向であった。ガンカモ類の膣の雑な解剖構造は、陰茎に対する解剖学的障壁であることが示唆された。

そこで、雌雄の性器構造は共進化の結果を示していると考えると、より長い陰茎を有する種は高レベルのFEPCs(強制的ペア外交尾)であり、より短い陰茎を有する種は低レベルFEPCsであると予想される。

性器形態の軍拡競争

鳥類の陰茎と交尾メカニズムとして陰茎の外転総排泄腔への接触に先立たないことは、研究されていない。従って、膣に見られる嚢構造の形態と配置は、陰茎の全な外転と、よりの内部における精子の貯蔵を妨げるだろうことを示唆する。この観察より、膣の嚢構造には精子の貯蔵機能はないことを示している。嚢構造に貯蔵された精子は受精するためにはより長距離移動が必要なのでメスによる排出が容易になる1

 

  1. Pizzari T, Birkhead TR (2000) Female fowl eject sperm of subdominant males.
    Nature 405: 787–789.

結果

繁殖期に収集した16種のガンカモ類の性器を調査した。メスの性器形態に種間で非常に大きな変異を発見した。ある種では典型的な単純な鳥類のメス性器形態であり、一方では高度に複雑な性器であった。

手の込んだ膣の構造として、総排泄腔に近位となる嚢構造、そして端部の閉じた時計回り螺旋構造、これらの数は可変的となっている。

この嚢構造は、膣の遠位端つまり総排泄腔に近い側に位置し、膣の軸方向に伸長しても排除できない構造である。その数は種によって0~3であった。

螺旋構造は360度捻じれており、卵管を引き延ばせば無くすことができる。膣の頭蓋側に位置し常に端部は卵殻腺でおわる。螺旋回数は種によって0~8回である。

数十年にわたり鳥類の輸卵管の解剖学的研究が為されてきたにもかかわらず、多様な膣形態の報告は全くされて来なかったので、ガンカモ類におけるこの発見は驚くべき事である。

性器構造の進化

多くの分類群におけるメスは、オスの授精を制御する能力を保持するための対抗戦略行動の操作に反応するという証拠がある1

いくつかの無脊椎動物のメスでは、オスの性器形態を変化させるという繁殖戦略に反応するが、一般にメスの性器は、オスよりも多様性は無い。鳥類のメスの性器は常に短く狭い筋肉の管と説明され、それ自身を折込み、結合組織で覆われる、という基本デザインと異なる報告はない。しかしながら、ガンカモ類のオスの性器の解剖構造に多様性とFEPCs (強制的ペア外交尾)を促進する潜在的役割が与えられると、メスは射精受精を制御するオス性器に対抗する解剖学的な適応反応として進化したと仮定する。

  1. Briskie JV, Montgomerie R (1997) Sexual selection and the intromittent organ of birds. J Av Biol 28: 73–86.

性器の進化

鳥類では一般に、性器進化の研究が行われてこなかった。なぜなら、たいていのオス鳥は、体外に複雑な性器を有していなかったからである。全ての鳥類種のうち僅か3%が挿入器官を有し、そしてその全ての種は、現存鳥類の基幹系統 basal lineages をなす。このオスの性器の形態比較研究を実行し得る僅かな種類がガンカモ類である3。ガンカモ類のオス性器は長さや精緻の度合いが高度に多様であり、この多様性は、強制的なペア外交尾の頻度に比例している。この性器は、メスの協力なしに挿入可能となり、精子精子貯蔵部のより近くに送り込み受精の可能性を上げる4。その結果、オスにメス以上の交尾における優位性を与える

  1. Briskie JV, Montgomerie R (1997) Sexual selection and the intromittent organ ofbirds. J Av Biol 28: 73–86.
  2. Montgomerie R, Briskie JV (2007) Anatomy and Evolution of Copulatory Structures. In: Jamieson BGM, ed. Reproductive Biology and Phylogeny of
    Birds Part A: Phylogeny, Morphology, Hormones and Fertilization Science Publishers. pp 115–148.
  3. Coker CR, McKinney F, Hays H, Briggs S, Cheng K (2002) Intromittent organ morphology and testis size in relation to mating system in waterfowl. Auk 119(2):
    403–413.
  4. Briskie JV, Montgomerie R (1997) Sexual selection and the intromittent organ of
    birds. J Av Biol 28: 73–86.

性器形態

性器形態は一方の性を優位に、他方は、性間の共進化を先導するような費用を交尾行動、形態、生理に関す進化的軍拡競争として課す1,2,3

もしオスの性器の形質が、メス操作し、父性を偏重させるなら、交尾や授精の制御を取り戻すようなメス性器の解剖構造の修正は、オスの性器形質と共に共進化する4

  1. Chapman T, Arnqvist G, Bangham J, Rowe L (2003) Sexual conflict. TREE18(1): 41–48.
  2. 10. Arnqvist G, Rowe L (2005) Sexual Conflict. Princeton: Princeton University Press. 330 p.
  3. Holland B, Rice W (1998) Chase-away sexual selection: antagonistic vs. resistance. Evolution 52(1): 1–7.
  4. Eberhard WG (1996) Female Control: Sexual Selection by Cryptic Female Choice. Princeton: Princeton University Press. 501 p.

ガンカモ類の性器形態の雌雄における共進化

Coevolution of Male and FemaleGenital Morphology

in Waterfowl

patricia, L.R. Brennan, et al. (2007) PLos ONE Issue 5 e418.

 

 複雑な性器は、いろいろな進化メカニズムで形成されるだろう。近年、ますます性選択が性器の多様性の進化の背後にある根本的な力と見做される。精巧な性器の構造は、オス間での卵の授精をめぐる交配後競争を通じて進化してきたと仮定された。メスの選り好みfemale choiceは、オスのより良い刺激か、質に対応するもので、または、両性間の授精の制御を超えた軍拡競争の影響である。